「武士の家計簿」 とにかく好奇心を満たされて大満足！

長々と書いたが、生活感剥き出しの武士の人生を味わえて、個人的には大満足の本だった。

幸いだったのは、これが比較的裕福な加賀藩の中級武士の生活史であることだ。米が取れない痩せた土地の武士だったり、もっと身分の低い武士だったら、痛ましすぎて読むのを断念したかもしれない。

泥臭くてお世辞にも格好いいとは言えない生活感丸出しの武士が、3代にわたって必死で全力で生き抜いた記録には、学校の教科書では味わえない凄味があった。

一つの会社を勤め上げる時代ではないが、私は幸運にも最初の会社に10数年勤務している。悲喜こもごもいろいろあったが、転職しなければならないほど追い詰められたことはない。万が一転職するとして、私には他業界に自慢できるような技能があるだろうか。そうした視点に立って、日々の仕事に励みたい。